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小学教員の採用試験で大学3年生に「内定」を出す仕組みを説明した長岡幹泰・高知県教育長=2025年1月23日、高知県庁西庁舎、蜷川大介撮影

 高知県教育委員会は23日、2025年度に実施する教員採用試験で、大学3年生に事実上の「内定」を出す仕組みを新たに導入すると発表した。小学教員の志願者が対象。教員のなり手不足は全国的に深刻化しており、人材を早期に確保するのが狙い。

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 新たに導入するのは「大学3回生受審制度」。25年5月31日の1次試験、7月26、27日の2次試験に合格した大学3年生を、27年度採用の教員採用候補者名簿に載せる。受験希望者は、大学の推薦が必要。本人の意向も踏まえ、大学4年の卒業前に本採用を通知する方針。

 高知県ではこれまでも1次試験なら大学3年の12月に受験できたが、2次試験は4年生を対象にしていた。大学3年生に「内定」を出すのは初めて。

 大学3年生に同様の試験をする仕組みは今年度、他県の一部でも導入されている。新潟県では昨年7~8月の試験に大学3年生44人が出願して28人が合格し、26年度採用候補者名簿に登載された。

 長岡幹泰・県教育長は23日の報道記者懇談会で「3年生の時点で教員になる意思が固まっている学生を早期に確保できる利点がある。(教育実習を経ていないなど)未熟さはあると想定され、慎重な選考をする」と述べた。

 県教委は今年度、他県より早い6月1日に教員採用の1次試験をし、10月までに280人に合格を通知したが7割に辞退された。不足分を補うために12月に2度目の試験をした。

 文部科学省は民間企業の動向などをふまえ、25年度実施の1次試験を5月11日を目安に前倒しするよう全国の教育委員会に要請していたが、県教委は24年度並みの5月31日と決めた。

 長岡教育長は「(5月11日にすると)他県と日程が競合し、受験者が大幅に減る可能性がある。4月当初の非常に忙しい時期では(受験する臨時講師らの)負担が大きい」と説明した。

教員不足の高知、3学期初日の「未配置」は25人

 高知県教委は23日、3学期初日(1月8日)に県内の公立学校で「教員の未配置」が25人に上ったと明らかにした。

 内訳は小学校16人、中学校3人、高校1人、特別支援学校3人、養護教諭2人。未配置が生じた理由は退職7人、病気休業12人、産休・育休6人だった。

 その後、23日までに小学校2人、特別支援学校3人分の未配置を解消した。学級担任が休みに入ったケースでは教頭や他の教員が兼務するなどし、「担任不在」の状態は避けられた、という。

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